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難病へのアプローチ

パーキンソン病の発症要因と鍼灸臨床について

金井正博

木更津杏林堂 院長,パーキンソン病認定鍼灸師,

(公社)全日本鍼灸学会参与 予防鍼灸研究会顧問

 

最近、パーキンソン病(PD)の患者さんは高齢化と共に増えており、静止時振戦(せいしじしんせん),無動(むどう),筋固縮(きんこしゅく),姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)の4つの運動障害の特徴的な症状を呈する。現在日本では推定で約20万人の患者さんがおり、発症率で言うと、特に65歳以上の高齢者の100人に 1 人は PD になることになる。男女比では女性に多い傾向があり、年齢が上がるに従い有病率が上がる傾向がある。海外では一千万人の患者さんがいるという報告もある。

このように PD は神経難病の中では有病率が高く、評価される進行性疾患であり、姿勢の不安定性と歩行障害が発生し転倒傾向が増大する。これらの身体状況は QOL を悪化させる。

 

どうしてPDになり易くなったのか?原因と治療を考えてみたい。

 

発症要因

筆者が PD 発症に関係すると推察する生活環境要因について記す。生活改善に役立ててもらえたら幸いです。

 

1 )食の欧米化と腸活

食べ物や嗜好など環境因子との関係があるのではないか。最近増加傾向にあることを考えると高齢化だけではなく、食の欧米化が考えられる。日本人の腸内環境は他国に比べて健康的で、炭水化物などから効率よく栄養素を作れる腸内細菌が多く存在し、発酵物質や植物繊維が減るなど海藻を多食する食習慣に適している。具体的には日本人は欧米人に比べビフィズス菌の量が10倍多いと言われる。ビフィズス菌がなぜ大切かと言うと、酢酸を作り、腸内を弱酸性にする。その結果、悪玉菌の増殖が抑制され、且つ、腸の蠕動がよくなる。腸内細菌叢にあった食生活をしなくなったためにPDが増えたのではないか。

腸内細菌叢は母親の母乳を介して出来上がると言われ、自分の母親が何を食べていたか、同じ物を食べれば腸の働きも変わってくるでしょう。ようするに地域で取れた食材で日本食を食べると良い。

発酵物質(みそ汁や、漬物、納豆など)を食べ、繊維質の物をよく噛んで食べることである。体調がおかしい時は先に腸の働きが悪くなってくる。鬱気味になることも有る。このような時に鍼灸治療を行えば大事に至らないで治っていくのではないでしょうか。

 

2 )殺虫剤、除草剤が危険因子であること

ホームセンターの入口に除草剤が山のように積んであった。ここ最近のことである。安易に使いやすくなっているのではないか。海外では使用禁止になっている農薬使用量が台湾、中国、イスラエル、韓国に次ぎ第5位と世界でも有数の農薬使用国である。農業分野、公園や道路などの公共の場、家の庭といった一般生活環境下で多く使用され、農薬による慢性中毒あるいは慢性障害は学会などで報告されている。グリホサートが含まれる除草剤には残留農薬が多いことも指摘され、オーストラリアやアメリカでは PD の発症との関係も報告されている。日本でも「グリホサート暴露がパーキンソン病の緩急リスク因子である可能性がある」という2020年千葉大学の研究報告がある。私たちの生活の中で、なるべく殺虫剤、除草剤等農薬の使用は控えることが予防につながるのではないか。

 

3 )頭部外傷の危険

モハメッド・アリがパーキンソン病であったことはご存じの方も多いと思う。頭部外傷は脳の病気を発症しやすくなる。高齢と共に転倒しやすくなり、頭部を負傷することも多い。日頃より歩行や軽度の運動を心がけ、鍼灸治療で下半身の筋肉を強化し転倒を予防しよう。

Vパパーキンソン病は腸の病

当院では「PD は腸の病だ」と訴える湯浅らの報告もあり、当院では腸の調子を整えることに主眼を置き診断、治療を行っている。

1997年の疫学調査によると便秘と嗅覚異常はPDの出る10年前から始まると報告されている。症状の出る前から、αシヌクレインは迷走神経、心臓、皮膚、消化管神経叢、そして脳幹などに沈着しレビー小体が溜まる。最初に便秘や消化管の症状から始まるのはこのためである。Braak 仮説を脳腸相関と併せて考えるという湯浅らの言葉が頷ける。

 

便秘を解消する

弛緩性便秘が一番多く、大腸の蠕動運動の低下を引き起こす。お腹の冷えや体質的な冷えが原因である。自律神経を整え温めながら腸に刺激を加えるよい。「右止左通」という言葉があるように、左の天枢穴より少し下のあたりを押すと痛みがある。ここにお灸をするとグルグルと腹鳴し解消することを経験した方も多いと思う。逆に、下痢を起こしやすい場合は右の腹部に刺激するのが良い。また、手の支溝穴(三焦経)の刺激をすることで、気の流れと水の流れの滞りが改善する。

また、直腸性の便秘は、便意を我慢することが原因となるので、排便スタイルを取りながら合谷穴に刺激を加えると出やすくなる。高齢者の場合は多剤服用の副作用として便秘になる場合があるので、主治医と相談の上対処することが大切である。腹部のマッサージやお灸などを併せて行うと効果がある。

 

ピンポン(卓球)とパーキンソン病

当院に 1 時間30分かけて通ってこられる患者さんのA子さんは、パーキンソン病患者のリハビリとして開催された、2019年世界パーキンソン病卓球選手権大会(アメリカ)のダブルスに参加し優勝した。昨年2022年クロアチア大会に参加し 3 位になった。

最初は杖を突いて歩いていたが、鍼灸をするようになり杖なしで歩けるようになり、姿勢バランスも良くなった。その後卓球の練習に励み筋肉量も増え体幹も鍛えられた。毎日が楽しくなり、ドーパミンが増えたような感じで、薬が少量で効くようになった。「今後も練習し、あと何度か世界大会に出よう。そういう気概がPD に効くという証明になる」と仲間を募って頑っている。

当院でも実際に効果が有るか、簡易練習機を使用し患者数名にお願いし測ってみた。歩行テストは卓球の前後に行う。後に測った方が良い結果が出た。

 

ピンポンがPDに効果があるのは、そのメカニズムは

サーブは大脳基底核、大脳辺縁系、前頭葉の運動野の連合結果が反映され、レシーブは小脳を介する早い予測運動が主体であり、スマッシュは小脳基底核と大脳前頭葉の咄嗟のコラボレーションから成り立つと湯浅らは推察している。

卓球を定期的に取り入れることは、PD症状 のすくみ足やウェアリングオフ、可動性、柔軟性、バランスの改善に役立つだろう。又、運動することで眠れるようになり、便秘も改善するでしょう。

薬の副作用について

1 .ジスキネジアと鍼灸

パーキンソン病の患者さんは、脳内のドーパミンを補う薬である L - ドーパを服用すること

により、症状は改善し、身体をスムーズに動かすことができるようになる。発症初期は薬がよく効くが、中期以降は薬の副作用「L - ドーパ誘発性ジスキネジア」と呼ばれる運動障害を生じることが課題でもある。薬を減らせばジスキネジアは弱くなるが、全体の動きが鈍くなりQOLが著しく損なわれる。近年、代替療法として鍼灸治療や理学療法が注目をされている。

湯浅らは「機能的な脳の結合が強すぎて、鍵が外れない状態である。前島回と前頭葉などの過剰な他の部分の結合なので、目先を変えることが必要である。鍼灸は脳の過剰なこだわり

を外すためのメソッドであり、鍼灸で、患者が、他人の言うことを聞く気持ちを作っておく、その後、実際に運動療法でリハビリをすると有効である」と言う。

実際に、脳で抱いている恐怖心が何であるかを観察し、身体の末端を刺激することで気持ち

が良いという脳のイメージを変える。その前後に、『手の回内回外テスト』(両手を前に出してもらい肘を軽く屈曲して手首を大きく、出来るだけ早く反復する。キラキラ星の動き) キラキラテストの後に井穴にお灸をし、その後にもう一度キラキラテストすると、動きの幅が小さく、ゆっくりだった回内回外がスピーディにできるようになる。そのイメージで歩行すると上手に歩くこともできる。このように、「鍼灸をすると歩行ができるようになる」というイメージを作る事でジスキネジアが軽減する。

 

まだ、始めたばかりなのでデータの蓄積はないが、色々なことに応用が利くでしょう。

パーキンソン病は腸の病

当院では「PD は腸の病だ」と訴える湯浅らの報告もあり、当院では腸の調子を整えることに主眼を置き診断、治療を行っている。

1997年の疫学調査によると便秘と嗅覚異常はPDの出る10年前から始まると報告されている。症状の出る前から、αシヌクレインは迷走神経、心臓、皮膚、消化管神経叢、そして脳幹などに沈着しレビー小体が溜まる。最初に便秘や消化管の症状から始まるのはこのためである。Braak 仮説を脳腸相関と併せて考えるという湯浅らの言葉が頷ける。

 2 .幻覚など神経症状

副作用には吐気・嘔吐などの消化器症状、起立性低血圧、幻覚・妄想、日中過眠 (車の運

転に注意)、足背・下腿浮腫などがあげられる。その中で精神症状(幻覚・せん妄・不眠・突

発的睡眠)では、家の中に難民がいる。食卓にムカデがいる。壁の絵画の人形が動いているなど、居ないものが見える幻視が多く、幻聴は少ない。

対処法はドーパミン量を減らせばよいのだが、動きが悪くなってしまう。まず、主治医に相談して減薬をすることだ。当院では減薬を埋める意味で服薬の量を減らした分ムクナ豆を食すことを勧め、鍼灸治療で胃腸の調子を整えるようにしている。この時のポイントは副交感神経(迷走神経)を刺激し、横隔膜の硬さを和らげるようにすることだ。

中医学では隔不通を解消するよう足臨泣、内関、足三里、曲池、外関など処方する。

 

◎ムクナ豆と注意事項

ドーパミンの元となる L- ドーパを多く含むことから、適量を食べることで不足したドーパ

ミンを補い、PD の症状改善の効果が期待されている。筆者の記憶では、offが出た後に、ムクナ豆を食し20分後には歩けるようになりマイクを持ってしゃべっていた方もいた。

ムクナ豆に含まれる天然 L- ドーパは体内で緩やかに作用しウェアリングオフが起こりにく

いのも特徴である。薬が効かない時間帯にうまく利用すれば、生活の質・QOL を向上することが期待できる。

ただし、L-dopa 製剤を服用している方はムクナ豆を多く食べすぎると下痢やジスキネジアが出現することがある。豆は110粒、粉末の場合は1日に10gが目安です。

主治医に相談の上、食すこと。鍼灸治療と併用することで筋肉を和らげ、歩行状態が改善

でき、自律神経症状も和らげる事ができる。

 

 

 

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難病への東洋医学的アプローチ
パーキンソン病の発症要因と鍼灸臨床について発表
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家庭画報に掲載される。
https://www.kateigaho.com/article/detail/175520

2024年1月1日号(12月1日発売)「自律神経のみだれ」
体の声を聞き、有効な手足のツボを
刺激して頸筋と腹部の緊張を緩める。

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